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デイサービス長老大学のブログ

高齢者が若者を支える。高齢者と共に未来を創る。逆支援型デイサービス 長老大学 のブログです。

介護は産業か?社会的コストなのか?(再掲)

思うこと

※この記事は、Tumblrで私が書いていた澤本洋介のblog(2014/6/30)の記事に加筆修正し転載したものです。

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サザエさんうちあけ話・似たもの一家より)

”介護は何かを生み出す産業では無い。社会的なコストである。”
という意見があります。
いくら介護業界が成長しても、雇用を増やしても、お金の出元は税金や社会保険料などの公金なので、社会の経済成長にはつながらない、と。
「タコが自分の足を食べているようなもの」という表現も聞いたことがあります。

もちろん、たとえ成長に直接つながらなくても、社会的に重要な仕事は沢山あります。

警察も消防も社会のコストと言えるかもしれませんが、そのお陰で私達は安心して暮らせます。そのお陰で安心して働いたり商売をすることができます。

介護も社会を支える重要な仕事のひとつだと思っています。

しかし、それでも私は、介護をコストと言い切ってしまうことには抵抗があります。
なぜなら、”介護業界には何かを生み出す可能性が沢山ある”と感じているからです。
(定義の問題としても、「コスト」という用語には人生の先輩への敬意が感じられず、イメージ的にも抵抗を感じます。)

私は居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)と指圧鍼灸院の小さな会社を営んでいますので、介護が必要な高齢者とお話をする機会が多くあります。
経験の豊かな皆様の話を聞くことはとても面白く、仕事やプライベートでの問題解決のヒントをいただいたことも何度もあります。

冒頭のマンガはサザエさんの作者である長谷川町子さんが、認知症となったお母様との思い出を描いた場面です。


imageきおく力は死んでも、思想思考のさいぼうは別なのかな?
(『サザエさんうちあけ話・似たもの一家』p126)

自分の娘のことが分からなくなっても、背筋を伸ばし、ご自身の生き方の指針についてお話をするお母様の姿がとても印象的です。

認知症の方から教わることは少なくありません。
介護業界へ転身した民俗学者六車由実さんの『驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)』には、認知症の方の言葉を丁寧に聞き書きするなかで、知らなかった町の歴史を発見する驚きが描かれています。

驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)

驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく)

 

 

重度の認知症ということだけで、正さんの発する言葉を鵜呑みにすることができなかった私は、正さんの記憶の確かさに頭の下がる思いがした。沼津市に生まれ育ったにも関わらず、その歴史をこれまでまったく知らなかった自分が恥ずかしくなった。
(『驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく) 』p106)


”お年寄りが一人亡くなることは図書館が一つ消えることと同じことだ”
という言葉があります。
私もその言葉にとても共感しています。
高齢者の皆さんのお話には、何かを生み出し、新しい価値を創るヒントが詰まっていると私は感じています。
「成功する起業家の多くは読書家である」と聞いたことがありますが、大勢のお年寄りと話をする機会の多い介護業界からも、何かを成し遂げる人々が大勢生まれてもおかしくないかもしれません。

社会の高齢化の中では、増え続けるコストの抑制が求められています。
介護報酬は抑えられ、働く人の給料も上げられず、慢性的な人手不足の現場も多いです。
せっかく高齢者に囲まれていながら、じっくり話ができない現場も増えていて、「もったいない!」と私は思っています。

私は以前に、こんなブログ記事を書いていました。

平成24年度の日本全国のデイサービス利用者数は100万人を超えています。
もし、日本全国すべてのデイサービスで知識と経験の豊富な100万の頭脳が、色々なことを考えて話し合って、その内容を世の中にシェアしていったなら、もしかしたら本当に、世界の1つや2つ変えられるようなパワーがあるのではないかと私は思っています。

 

chouroudaigaku.hatenablog.com


高齢者の皆さんが、その知識や経験を活かして、若い世代や地域を支援する場所となるような、そんなデイサービスを作りたい

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chouroudaigaku.hatenablog.com

はじめはホラ話だったアイデアも、多くの皆様の応援とご協力を得て、少しづつ実現への準備が整ってきました。

介護は産業か?社会的コストなのか?
私は、介護の現場で新しい価値を生み出す「産業」づくりに、チャレンジしたいと考えています。

2015年春に、高齢者が若い世代や地域を支える逆支援型デイサービスを、高知県長岡郡本山町からスタートする予定です。

ご指導のほど、よろしくお願いいたします。