デイサービス長老大学のブログ

高齢者が若者を支える。高齢者と共に未来を創る。逆支援型デイサービス 長老大学 のブログです。

高齢証言者の矛盾を「嘘つき」と批判する前に知っておいて欲しいこと

こんにちは。

デイサービス長老大学 代表の澤本洋介(@sawamoto482)です。

まえおき

今日は、政治的な話題も取り上げますが、長老大学の政治的な考えを主張するつもりではありません。

「聞き書き介護」を2年以上続けている私から見て、しばしば感じる「高齢証言者の矛盾批判」について思うことを書きたいと思います。

高齢証言者の矛盾批判とは、例えば以下のようなものです。

togetter.com

 

getnews.jp

 

証言に出てくるの年齢や年号と実際の出来事が起こった年を照合すると明らかな矛盾がでてきたり、以前の証言とその後の証言で年代や内容の辻褄が合わないことなどから、その証言者を嘘付きと批判するというのが、よく見るケースです。

 

証言の年代矛盾は普通にとても多くあることです

デイサービス長老大学では、毎日ご利用者の皆さまから昔のお話を繰り返しお聞きしていますが、このような証言の矛盾や辻褄の合わなさはとても多くあることです。

例えば、80代男性のTさんは「農兵隊に徴用された日々」のお話を日に何度も繰り返されます。


-山田の田んぼには本山では見たことなかったヒルが沢山いてあずったぜよ。

何歳くらいの頃ですか?

-さあ、二十歳ばあじゃったと思う。

 

生年月日から計算すると、おそらくは13歳くらいのはずなので、Tさんにそう聞いてみると

-いや、そんな子どもの頃じゃない。二十歳ばあじゃった。

と、おっしゃいます。

それが、Tさんにとっての事実なのだと私達は受け止めています。

 

他にも、自分の子どもの生まれた順番が入れ替わったり、自分の話とお姉さんの話が入れ替わったり、そういうこともよくあります。

 

決して嘘をついているというわけではなく、認知症の方も、そうと診断されていない方でも、人の記憶というのは曖昧なものなのだろうと日々感じています。

 

記憶違いは高齢者だけでなく、若い方にもあることです。

d.hatena.ne.jp

 

幼稚園の頃、アニメ「機動戦士ガンダム」を見て「空を自由に飛びたいと思った」。


しかし、今年43歳の人が幼稚園児の時にガンダムを見ているのかな?と思い確認してみた。

まず、『機動戦士ガンダム』の放送期間は1979年4月7日から1980年1月26日である。
一方、室屋義秀氏は1973年1月27日生まれの43歳だ。
室屋 義秀 | Red Bull Air Race

室屋氏は早生まれなので1972年出生の人と同学年であり、1979年4月には満6歳として小学校に入学していたはずで、「幼稚園の頃にガンダムを見た」というのは室屋氏の記憶違いか勘違いではないかと思われる。とはいえ、室屋氏が飛行士を目指したきっかけが幼少時のガンダム体験であることは間違いないのだろう。

 

きっと私自身も、このような記憶違いを沢山持ちながら暮らしているのだと思います。

 

例に上げさせていただいた高齢証言者の方の状況はわかりませんが、矛盾や辻褄の合わなさだけで「嘘付き」とバッシングしてしまうのは良くない態度と私は思います。

 

そして、証言をしてくださる高齢者の方をバッシングから守り、貴重な知識や経験をできるだけ正確に後世に残すためにも、記者や支援者の方には、より丁寧な検証作業を行って欲しいと思います。自戒を込めて。

追記)
「私の祖父母はそんなことなかった」と、この記事が信じられない方も多いかもしれません。
たしかに、長老大学にも、とても正確に過去を記憶しておられる方もいらっしゃいます。
ですが、そのような方は決して多くはないと私は感じています。
ぜひ沢山の高齢者の方と触れ合って、お話を聞いてみてください。