デイサービス長老大学

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イイという風習。梶蒸しについて。

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大豊町出身のAさんから梶蒸しのお話をお聞かせいただきました。
隣近所で助けあいながらの徹夜作業だったそうです。
「イイ」と呼ばれる助け合いの取り組みもとても興味深いです。



梶っていう、コウゾ(和紙の原料)の。
そういう束がそれぞれの家にずっと、畑の縁にずっとこうありましたのでね。
それを切ってきて、それを蒸す桶にいれるのに、その大きさに応じるように梶を丸めて置いて。
下に鍋っていうか、大きいアレを置いて、それに水を入れちょいて。
それを下から温めてそれから蒸気がずっと出て、それで梶の木を蒸して剥ぎやすいようにするという。

-梶の皮を剥きやすくするために蒸すんですか?

そうそう。
蒸してそれを部屋に持って来て、皮を剥ぐのと。
冬の時で芋ができているので、その一番上の所に芋を、いれて、蒸気で蒸して。
その芋がおいしくて。

みんなで昼から晩をかけてやりよりましたからね。
昼間だけでやって今度終わればいいけんど、梶の木の束がよおけあると、昼間だけで終わらんので、晩にかけて。
そうしないと止めてしまうと火が消えてしまうのでまたやりなおさんといかんといいうことで。
やりゆうものは大変であれだけど、次の日に寝んとしょうがないということで。

-その晩は徹夜なんですか?

徹夜みたいなカタチでやらんとね。
晩は通しでやるのでね、色々な話を、言えんような話から色々な話をしもって(笑)
そうせんと眠たいのでね。
面白い話をする人がおって、それを聞きもって梶を剥ぐという。
寝ずにやると眠とうなりますんでね。面白い話をワイワイ言いもって剥ぎよりました。

よお「イイ」というて、
隣近所があの、お互いにその、例えば僕の家でやる時は、隣近所の人に来てもらってやって、それで昼も晩も通してやりよりましたからね。

-その「イイ」というのは、沖縄の「結」のような助け合いみたいな意味ですか?

そうそう。結局その、自分の家族ゆうても、5,6人ですからね。それではいかんので。
隣同士が3軒位がお互いにというかな。
3つの家があったらその1つの家がやる時に隣の家のもんがそこへ集まって梶を剥ぐというか。
それを1軒が終わったら次の、というようなやり方でやりよったと思います。
今のように機械があるわけではなく、人の力で全部やるんだったので。

-イイは、梶を蒸す時の他にはどのような時に行われていたんですか?

家の屋根が昔は茅葺きというもので。
その屋根を葺き替えるときにはイイでやって。
茅を切ってきて、家に積んで置いといて、屋根を変える時にそれを使うという。
一年ではなかなかそれができんので、何年かの分を置いちょいて、それを使うようなやり方じゃったろうと思います。
上手な人を中心に。屋根から竹を横にやっちょいて、それから紐を中に入れて止めるとか。そんなことを。

-イイで助けあうには、隣近所が仲良くないといけないですね。

結局仲良うやらんと色んなことができんのでね。
隣の家とあまり仲が良うなかったら、色んな時に助けあうことができにくいんじゃないかと思います。
隣近所が協力し合える関係でいることが大事ですね。
今でもそうだと思います。